田瓶市観光情報局
田瓶ニュース

奇病に新展開。患者の意外な共通点とは

August 22, 2022

  本紙は2ヶ月にわたって田瓶市で発現した奇病を追いかけている。度重なる取材の結果、患者には意外な共通点があることが分かった。まずは事態の復習からしていこう。  最初の患者が発見されたのは約2ヶ月前。健康だった少年少女が突如昏睡状態に陥り、目を覚さなくなった。患者は寝たきりとなるも経過は順調で、まるで夢を見ているような脳の活動状態が見られていた。また筋肉の衰えや、髪や爪の伸長が見られず、まるで時が止まったかのように静かに眠っている。これが田瓶市の少年少女10名に降りかかった不思議な病気である。

 本紙が発見した患者の共通点。それは全員が田瓶市の祭り「まんだら灯籠祭り」にて依代を務めたことがあるという点だった。馴染みのない読者のために少し補足すると、「まんだら灯籠祭り」は田瓶市を代表する祭りの一つで、荒神神社にて執り行われる。境内の数百の灯籠が一斉に灯される幻想的な祭りであるが、最終日に先んじてその1週間前から催事は執り行われている。地域の若者から選び出された「シン」と呼ばれる依代が、清められた炎が消えないよう、焔堂と呼ばれる建屋で7日7晩祝詞をあげる、というものだ。(編集注:かつては寝ずの当番として炎を守ったとされるが、現代では朝晩の祝詞奏上のみが行われており、依代はそれ以外の時間境内の神職用の住居で安全に過ごす)。

 今回昏睡状態に陥っているのは過去10年間で「シン」を務めた経験がある少年少女たちだった。「シン」は毎年男女1名ずつ田瓶市の小中学生の中から2名1組で有志で指名される。「シン」を務めた人が全員奇病に罹患しているものではないため、直接的な因果関係は不明であるが、「まんだら灯籠祭り」が何かしら精神的な影響を及ぼしている可能性は否定できない。本紙は田瓶中央病院に上記の仮説をぶつけてみたが「現実的でない」として有効な回答を得られなかった。本紙では奇病に苦しむ少年少女、そしてご家族のために引き続きレポートを続けていく。